メインイメージ

最近の投稿

合同会社の株式概念

合同会社には1株あたりという概念がない

合同会社は会社組織に関するルールが厳しくありませんから、自由に制度設計を行うことができます。自由に設計ができますから、例えば厳しいルールを作ることもできますし、独自のルールを作ることもできます。特にこれが大きく影響するのが利益の分配です。

株式会社の場合には、株数に応じて利益を分配することが会社法によって定められています。配当金については1株あたりの金額が定められますから、例えば、2株所有している人は1株所有している人の2倍の配当金を受け取ることができます。合同会社ではこのような規定がありませんから、出資した金額とは関係なく利益を分配することができるのです。

例えば、1万円しか出資していない人と、999万円を出資した人がいた場合、もしも株式会社を設立したのなら、利益を分配する比率は1:999となります。ですから、例えば100万円の配当を行うと決まった場合には、1万円出資した人は1千円の配当金を受け取ることができて、999万円を出資した人は99万9千円の配当金を受け取ることができます。

合同会社の場合にはこのような決まりはありませんから、1万円出資した人も、999万円出資した人も、どちらも50万円ずつの利益の分配を受ける事ができます。原則としては、社員は平等に利益の分配を受ける事ができるようになっているのです。投資家としては、これはあまりよいことではないと考えるかも知れませんが、このような制度になっていることによってメリットもあります。

例えば、資金を提供できる人と、資金はなくても何らかの技術を持っている人とが出資して株式会社を設立した場合、最終的な利益は資金を多く提供した人が多く受け取ることになります。株式会社では利益の分配が1株あたりで行われますから、こうならざるを得ないのです。技術は金額で表すことができませんから、こうなってしまうのですが、合同会社の場合には出資金額に応じて分配しなくても良いというメリットがあります。

ただ、合同会社でも株式会社のように、出資比率に応じて分配することもできます。出資した金額に応じて利益を分配するということを定款によって定めておけば、株式会社と同じように分配をする事もできるようになります。

株式会社では会社法によって色々なことが決められていますから、他にもいろいろな規定があって自由に制度設計ができません。合同会社ではこのような規定がありませんから、自由度が高いと言えるでしょう。

倒産隔離を図る

合同会社をSPVとして倒産隔離を図る

小規模な新規事業を立ち上げたり、個人営業が法人化するときに、よく合同会社の形が用いられます。
しかしこれとは別に、合同会社は特別目的事業体(SPV)にも適合する会社形態です。

SPVは資産を流動化・小口化・証券化するときに使われる手法のひとつです。資産には金銭債権や不動産のほか、著作権や信託受益権などが含まれます。SPVは、こうした資産を原資産保有者から買い取り、これを担保として投資家から資金を集めます。原資産保有者はリスクのある資産を売却することで、資産の圧縮を行なえます。

資産の譲渡を受けたSPVは、倒産隔離ができるというメリットがあります。つまり、仮に原資産保有者が倒産しても、資産そのものの価値が減ることはないわけです。

SPVは資金調達と倒産隔離だけを目的とした組織です。自ら事業を営んだり、投資したりすることはありません。したがって会社組織といえども利益の内部留保はなく、収益が得られたら、その全部を投資家に還元します。

このような組織に合同会社が向いている理由は、設立が容易な点にあります。株式会社よりも簡素な手続きで済み、公証人による定款の認証も必要ありません。また合同会社は定款自治が広範に認められており、利益の配分も任意に決めることができます。

こうした特長を活かしたものとして、GK-TKスキームと呼ばれるファンドの形態が知られています。GKは合同会社、TKは匿名組合を意味します。

SPVとして合同会社を設立する場合、多くは一般社団法人が出資者、すなわち社員となります。合同会社は自らの判断で投資を行なわないため、資産運用などの必要があれば、アセットマネージャー等に委託します。これは、会社が第二種金融商品取引業や投資運用業に該当しないための措置でもあります。

特定の業種に該当すると、財務局などへの登録が必要となり、余計な費用や時間がかかるからです。同様の理由で、不動産取引業と認められないよう、不動産信託受益権は購入しても、不動産は取得しないことがあります。社員としての一般社団法人は、必要に応じて業務執行社員を出し、定款の変更などを通じて、利益の配分を決定します。

一般の投資家は、合同会社と匿名組合契約を結び、匿名組合事業に出資します。
そして収益が得られれば、組合出資の持分に応じて配当を受け取ります。
このようなシステムがGK-TKスキームです。有限責任であり、かつ計算書類の公告義務がない合同会社は、将来的にもSPVの器として期待されています。

合同会社が優先責任

合同会社が優先責任であることに身とは

合同会社は有限責任社員からなる会社です。この点では株式会社と似ています。個人事業主や合名会社、あるいは合資会社の場合には、無限責任となります。ですから、経営を行うリスクは非常に大きいと考えられます。つまり、会社が何らかの負債を抱えたときには、それを負わなければならなくなるのですから、安易に事業の規模を拡大することはできないでしょう。

具体的には、出資者が出資した範囲でリスクを負うことになります。例えば、100万円を出資した場合には、もしも会社が破綻してしまうと出資した資金を返還してもらう事ができなくなる場合があります。しかしながら、100万円を出資して、100万円を超えた損失を発生させることはありません。合同会社に出資した場合の最大の損失は出資した金額となりますから、この点でリスクは小さいと考えられます。リスクを負うことのできる範囲で出資をすれば良いだけですから、出資者としてもリスクコントロールを行えます。

これに対して期待できる利益には上限がありません。ですから、もしも合同会社を設立した後に会社が成長をすれば大きな利益を得る事ができます。損失は限定されていて、利益に対しては上限がありませんから、出資しやすい状況にあると言えるでしょう。

ただ、有限責任と言っても、契約によっては出資した資金以上の損失を発生させる可能性もあります。合同会社として借り入れをした借金については、通常であれば社員が負う必要はありません。代表社員であっても借金を負うことは必要ないのです。これが「有限責任」という意味です。借金だけではなくて、買掛金などの負債についても同じことが言えます。

しかしながら、規模の小さい合同会社の場合には信用力がありませんから、代表社員が保証人にならなければならない場合もあります。代表社員が保証人になった場合には、合同会社が借金を返済できなくなると、代表社員がその借金を返済していかなければなりません。

また、代表社員の保証能力が低いと判断された場合には、借金をするために担保を設定しなければならない場合もあります。代表社員の個人資産を担保として設定した場合、合同会社が返済できなくなると担保となった資産を失うことになります。

このようなことがありますから、契約によっては有限責任ではなくなることもありますから注意が必要です。ただ、このような契約をしない限りは、合同会社の借金を社員が負う必要はありません。

定款について

合同会社を設立するための定款について

合同会社を設立するときには定款を作成しなければなりません。会社組織のルールを定めた最も重要な書類ですから、作成をするためのルールが定められています。ですから、これらを把握しておく必要があります。ただ、最近ではサンプルが多く出回っていますので、これらを参考にすれば比較的簡単に作成することはできるでしょう。

合同会社の定款には必ず記載しなければならないことがあります。これが絶対的記載事項と呼ばれるものです。絶対的記載事項が記載されていないと効力を持ちませんから、内医用をきちんと把握した上で記載することが必要となります。具体的には、合同会社が行う事業の目的、商号、本店所在地、社員の名前と住所、出資金額などがあります。また、合同会社は有限責任の会社となっていますが、この事についても記載しなければならないと定められています。

絶対的記載事項は必ず記載しなければならないのですが、それ以外にも条件によっては記載しなければならないものもあります。これらを相対的記載事項と呼びます。例えば、損益分配の比率を事前に定める場合には、これを記載しておくことも必要となります。合同会社は、出資者が経営を行うことになるのが基本ですが、出資だけをしたいという人もいるでしょう。このような場合には、実際に経営を行う人を業務執行社員と呼び、誰が業務執行社員となるのかを記載することが求められます。

細かく制度設計をしたいのであれば、そのことも相対的記載事項として記載することができます。合同会社では、全社員の一致で意思決定が行われるのが基本ですが、過半数の賛成があれば意思決定できると定めることもできます。このようなことについても相対的記載事項として記載すれば効力を持ちます。

合同会社の場合には、定款を作成しても認証の手続きは必要足りません。認証をするためには手数料が必要となりますが、認証が必要ありませんから、株式会社を設立する場合に比べると、設立コストは安くなります。また、電子定款を作成すると、印紙を貼る必要がありませんから、その分だけ安くなります。

このようなことから、株式会社を設立するよりも合同会社を設立した方が安くなります。また、電子申請を子なうことによって登録免許税を安くすることができます。これらの方法を駆使すれば、諸経費を考慮しても10万円以内で合同会社を設立することができるため、コストを抑えて小規模な会社を設立したい場合に適しています。